掲示伝道2024月6月

2024年6月8日土曜日

掲示伝道

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寂しさや辛いことは
乗りこえなければならない山ではなく
それも一つの心象風景だ
宇多田ヒカル

 よく宗教というと、寂しさや辛いことは仏様や神様が私たちに与えた試練なのだ。乗りこえることで成長するのだ。などと言われることありませんか?
 頑張って乗りこえられた時はこの言葉で自己満足に浸れることでしょう。しかし私たちは一人ひとり違います。耐えられる試練の大きさも、頑張れる度合いも違います。乗りこえられなかったとき「耐えられるはずのものに耐えられない自分が悪い」とか「これ以上どう耐えろと言うのか」、また先月も書きましたが試練を乗りこえられなかった他者に対して「自己責任」という言葉を突きつけてしまったりします。
 さて宇多田ヒカルさんの言葉です。
感情を良いものと良くないものに分ける考え方が、私は好きじゃなくて。私にとって感情って重さで、ネガティブと括られるような気持ちも、ポジティブと括られるような気持ちも、重さで言ったら同じ。感じないほうが良いとか、もっと感じるべきとか、欲するべきとか、それこそ先入観だし、ハッピーじゃない。何か足りていないって勘違いにつながるような捉え方だなって思っていて。自然現象じゃないですか、感情って。肌を切ったら血が出る、水を飲んだらトイレに行くみたいな。これは嫌だ、これは良いって分けるものではないって、デビューからずっと歌詞にしていることです。 
 真宗はお念仏を申して救われると説きます。しかし親鸞聖人の仰るお念仏の教えはお念仏を称えれば思うようになりますよ。というものではありません。南無阿弥陀仏とは、その時々で自分の都合の良いことを中心とする身の事実に向き合う私たちの姿そのものだという事でしょう。誰だって病気になりたくはありませんし、歳だってとりたくありません。元気であれば死にたくありません。しかしそれは誰も避けて通れないことです。
 病むことも、老いることも、死もまた特別なことではないのです。それに向かい合い、生き抜く勇気をくれるのが「宗教」というものではないでしょうか。

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宇多田ヒカル
1983年〈昭和58年〉1月19日生まれ
シンガーソングライター
音楽プロデューサー。
愛称はヒッキー。
父は音楽プロデューサー・宇多田照實
母は歌手・藤圭子
出身はアメリカ合衆国・ニューヨーク
ロンドン在住
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